在宅ワークやホームオフィスにおける作業効率と快適性を高めるため、省スペース設計のデスク「サリダPSデスク&「サリダPSラック」を発売しました。 ノートパソコン作業における十分なスペース、部屋の広さを確保したサイズ、そして高い強度を兼ね備えたデスクになります。
このデスク及びラックは40mmの幅広スチールパイプで構成されており、パイプを活かして、マグネットや結束バンドなどで市販の収納グッズ等を配置することができ、効率よく仕事を進められるワークデスクとして、趣味に没頭できるクラフトデスクとして、自分の利用スタイルに合わせてカスタマイズするベースとしても使えます。
今回、デスクとラックのスチールパイプ部分を活かせるオプションとして「PSラックアドオン」を用意いたしました。
この「PSラックアドオン」は、ご自宅や出力センターなどの3Dプリンターにて出力できるカスタマイズアイテムになります。
3Dデータは、「長岡造形大学 森本准教授」が監修したデータで、無償にてダウンロードしてご利用いただけます。
市販で購入できる収納アイテムだけでなく、「PSラックアドオン」を利用して、自由な発想でカスタマイズして、オリジナルのデスク環境をつくってみませんか。
長岡造形大学
森本 康平 准教授
所 属
:
大学院造形研究科
イノベーションデザイン領域
専門分野
:
デジタルファブリケーション、プロトタイピング、マテリアル工学、エコデザイン
業 績
:
一般社団法人ファブソサエティエクスペリメンツ代表理事及びファブラボ北加賀屋運営代表
The Fab Foundation 主宰「FabAcademy」ディプロマ取得(2017)
近年、環境負荷の低減や多様なユーザーニーズへの対応など、製品に求められる要素は増加の一途を辿っています。しかし、多くの配慮を盛り込むことは、製造エネルギーや材料使用量の増加に繋がる可能性もあり、一つの製品に全ての要求事項を共存させることは、ますます困難になりつつあります。
そのような状況の中、3Dプリンタをはじめとしたデジタルファブリケーションの普及により、パーツを1個から製造することが可能となり、ユーザーごとのカスタマイズの道が開けてきました。
そこで、メーカーが適正品質の製品を効率的に量産し、製品単体では到達できない個々のニーズへの最後の一歩(ラストワンマイル)を、ユーザー自身が、デジタルファブリケーションを活用して埋めていく。そのような仕組みを構築することで、相反する課題を解決できるのではないかと考えました。
しかし、工業製品として品質管理された上で生産されるパーツと異なり、ユーザー自身が様々な3Dプリンタで製造する場合、造形方式自体に起因する不安定さに加え、機種ごとの造形特性が反映されます。3Dプリンタは自由度の高い設計が可能となることがメリットの一つですが、形状によっては、元データからの誤差が大きくなったり、出力ミスの可能性が高くなったりします。さらに、造形はできるものの、取り外しにくい場所にサポート材が付き、使用するまでに手作業での加工が必要な場合もあります。
そこで、今回のサリダPSデスクを対象としたアドオンパーツ開発の取り組みでは、3Dプリンタの特性を考慮した上で、ビギナーが出力しても元データと近い状態で出力でき、可能な限り後加工をせずに使用できるような、パーツのデザインを目指しました。
そして、いくつかのプロトタイプ制作した結果、以下のデザインプロトコルを設定しました。
以上のルールは問題を回避すること狙ったものですが、逆に積極的に意匠に反映させることで、量産品では見られなかったようなデザインを生み出しています。
これらのパーツを組み合わせることで、自身の使い方に適したデスクシステムにアップグレードすることができ、自身でデータ作成ができる人は新たなパーツを開発することで、より効率的な作業環境を構築できるかと思います。
こうしたアプローチにより、ユーザー自身がプロダクトのデザインや製造の一部を担い、心地よい環境づくりに主体的に関わることで、モノや空間、さらには共に過ごす仲間への意識が高まるかもしれません。
さらに、ユーザーがモノの構造や材料について詳しくなり、より長く使う方法や、適切な捨て方へ意識を向けることで、理想的な物質の循環に繋がる可能性もあります。
そのため、このプロジェクトは、製品と利用者との間に生じる多様なギャップを埋めるプロダクトの提案であるとともに、メーカーとユーザーの関係性を再定義する取り組みであると捉えています。
将来的には、ユーザーが設計したデータをオープンソースで共有するコミュニティによって、新たなアドオンパーツが次々に生まれ、製品の利便性が持続的にアップデートされるような状況が生まれるといいですね。
ぜひ今回のアドオンパーツの提案をきっかけに、多様な使い方を考えてみてもらえればと思います。